没落亭日誌

科学史/メディア論のリサーチ・ダイアリー

京大人間図鑑インタビュー

京大人間図鑑というコーナーで私のインタビュー記事が出ました。私が科学史に転向する前のメディア論的背景や、統計学史のメディア論的再解釈の可能性、科学史とメディア論を統合するヒントとして書記実践に注目する、「グラフィーの歴史」や「一般書記史」…

樋渡涓二と〈生体工学的〉メディア論の生態系—NHK 放送科学基礎研究所視聴科学研究室オーラルヒストリー資料

勤務先である京都大学人文科学研究所紀要の『人文學報』に「樋渡涓二と〈生体工学的〉メディア論の生態系—NHK 放送科学基礎研究所視聴科学研究室オーラルヒストリー資料」という文章を発表しました。英国ダラム大学のハンスン・ショーン(Hansun HSIUNG)さ…

モノの認識論としての近代科学:下村寅太郎『科学史の哲学』を読む

「モノの認識論としての近代科学:下村寅太郎『科学史の哲学』を読む 」という短い記事が所報『人文』に出ました。昨年7月に人文研アカデミー「名作再読」という企画で行った私の報告をまとめたものです。 researchmap.jp 内容的には「近代の超克」座談会に…

Science Wars Before the "Science Wars": East Asia as Method特集

日本科学史学会の発行している『Historia Scientiarum』で「Science Wars Before the "Science Wars": East Asia as Method」という特集号を組みました。ダラム大学のハンスン・ショーンさんとの共同編集です。論文自体は1年間のエンバーゴ期間を経てJ-Stag…

献本

新年になってから、記憶があまりないくらい何かといそがしかったのですが、一息つきました。その間に送っていただいていました。ありがとございました。

@zinbunアドレス停止のお知らせ

人文研がサイバー攻撃を受けたらしく、人文研から支給されているzinbun.kyoto-u.ac.jpのメールアドレスが使えなくなりました。3月3日以降に送られたメールは受け取れていない可能性があります。 今後、岡澤にご連絡される方はgmailないし、kyoto-u.ac.jpの…

Information, Communication & Society

メディア論と科学技術史の交点となるような雑誌、Grey Roomが有力候補だと思うがInformation, Communication & Societyというのもあって、データ研究とはかはのっているらしい。ちょっとよく知らないで後でチェックしよう。

「テレビジョン・アーカイブスを再想像する:科学技術史とメディア論から考える未来」WS

京都大学人文科学研究所「歴史的メディア認識論:テレビ史におけるメディア論とテクノサイエンスの交錯」共同研究班(班長:ショーン・ハンスン)では、以下の要領でテレビジョン・アーカイブスをテーマとしたワークショップを開催することとなりました。前…

「〈視聴者〉の系譜」イベント・レポート

表象文化論学会のオンライン・ニュースレター紙『REPRE』49号に、先日ショーン・ハンスンさんと開催した日英バイリンガル・ワークショップ「Techniques of the Shichōsha: On the Technoscientific Formation of Cultural Subjects /〈視聴者〉の系譜:ある…

イアン・ハッキング追悼:「範例と二人の哲学者──推論する動物たちの生態史のために」

岩波の『思想』に「範例と二人の哲学者──推論する動物たちの生態史のために」を寄稿しました。 岡澤康浩「範例と二人の哲学者──推論する動物たちの生態史のために」『思想』2023年10月号 思想 2023年10月号(no. 1194)岩波書店Amazon 「トマス・クーン──『…

『メディア考古学とは何か?』

しばらく前に、「視聴者の系譜」ワークショップでご一緒した大久保遼さんから、ユッシ・パリッカ(梅田拓也・大久保遼・近藤和都・光岡寿郎訳)『メディア考古学とは何か?:デジタル時代のメディア文化研究』(東京大学出版会)の翻訳をいただきました。あ…

「学術書の読み方」動画の公開

国立大学共同利用・共同研究拠点協議会が行っているシリーズ「すぐわかアカデミア。」シリーズの一環として、勤務先の京都大学人文科学研究所(人文研)紹介動画を作成・公開しました。 youtu.be 「すぐにわかる学術書の読み方:大量の本にどう向き合うか」…

6月17日・18日:視聴者の系譜WS

6月17日(土)・18日(日)に日英バイリンガル・ワークショップ「Techniques of the Shichōsha: On the Technoscientific Formation of Cultural Subjects /〈視聴者〉の系譜:ある文化的主体の科学技術的形成」を開催します。プログラム詳細などはフライヤ…

『記憶を語る、歴史を書く』『実践の論理を描く』『上海フランス租界への招待』『質的研究アプローチの再検討』

朴沙羅さんから『記憶を語る、歴史を書く: オーラルヒストリーと社会調査』をいただきました。大変ご無沙汰しているのに送っていただいてありがとうございます。 記憶を語る,歴史を書く: オーラルヒストリーと社会調査 (単行本)作者:朴 沙羅有斐閣Amazon 小…

書記技術のマテリアリズム−−ブリュノ・ラトゥールのメディア論のために

『現代思想』のラトゥール特集号に「書記技術のマテリアリズム−−ブリュノ・ラトゥールのメディア論のために」という文章を書きました。 現代思想2023年3月号 特集=ブルーノ・ラトゥール――1947-2022作者:奥野克巳,久保明教,檜垣立哉,近藤和敬,田中祐理子青土…

『音楽の方法誌』『障害理解のリフレクション』『アメリカの人種主義』

吉川侑輝さんから、『音楽の方法誌:練習場面のエスノメソドロジー』(出版社リンク)をいただきました。吉川さんにはウェブ連載されている「天才と出会う――サリエーリとモーツァルトの対話」に研究会でご発表いただき、勉強させていただきました。 音楽の方…

6月17日・18日「<視聴者>の系譜:ある文化的主体の科学技術的形成」ワークショップ

(2月25日追記:発表者募集を3月10日(金)まで延長しました) 2023年6月17日・18日に「<視聴者>の系譜:ある文化的主体の科学技術的形成」という日英バイリンガルでのワークショップを京都大学で開催しますので、発表者を募集します。対象領域は、映像文…

 『消費と労働の文化社会学』『これからのメディア論』『ビデオのメディア論』

井島大介さんから、『消費と労働の文化社会学』をいただきました。最近は、経営学史に関心があるので、とてもありがたいです。 消費と労働の文化社会学――やりがい搾取以降の「批判」を考えるナカニシヤ出版Amazon 大久保遼さんから、『これからのメディア論…

Steinberg&Zahlten, 2017, Media Theory in Japan

テレビ論読書会一回目はMarc Steinberg and Alexander Zahlten, Media Theory in Japan (Duke University Press, 2017)を読んだ。 Media Theory in JapanDuke University PressAmazon 特に以下の章を重点的に。 Marc Steinberg and Alexander Zahlten, Intro…

團康晃「子どもと読者のメディアミックス」大塚英志編『運動としての大衆文化』(水声社)

團康晃さんから、日文研のプロジェクトの成果である大塚英志編『運動としての大衆文化』(水声社)献本していただきました。 運動としての大衆文化 [ 大塚英志 他 ]価格: 7150 円楽天で詳細を見る 團さんが担当されてるのは「子どもと読者のメディアミックス…

ロレイン・ダストン、ピーターギャリソン『客観性』翻訳出版

ロレイン・ダストン、ピーターギャリソン(2007=2021)『客観性』(瀬戸口明久・岡澤康浩・坂本邦暢・有賀暢迪訳、名古屋大学出版会)邦訳に訳者の一人として参加しました。原著は、2007年にZone Booksから出版されたObjectivityです。解説記事として『Tokyo…

秋谷直矩・團康晃・松井広志編『楽しみの技法:趣味実践の社会学』(ナカニシヤ出版)

秋谷直矩・團康晃・松井広志編『楽しみの技法:趣味実践の社会学』(ナカニシヤ出版) 秋谷直矩さん、岡沢亮さん、團康晃さん、などが執筆されている秋谷直矩・團康晃・松井広志編『楽しみの技法:趣味実践の社会学』(ナカニシヤ出版)を送っていただきまし…

遺産と概念的穴掘り

『ユリイカ』(2021年3月号)に「遺産と概念的穴掘り」というミニエッセイを寄稿しました。 特集は『A子さんの恋人』などの作者として知られる近藤聡乃さんなですが、わたしの原稿は巻末の「われ発見せり」コーナー用なので、特集とは関係なく「なぜうちの祖…

man of science、天才、徳

19世紀のman of scienceにおける努力、徳、および天才について。 The virtues of men of science could assume heroic proportions in biographical writing. Tyndall’s life of Michael Faraday extolled the sacrifices made for truth, the purity of pur…

献本お礼:海老田 (2018)『柔道整復の社会学的記述』 / (2020)『デザインから考える障害者福祉』

海老田さん(⁦⁦@evidai⁩ ⁩)から博論本と新刊を頂きました。ありがとうございます。 pic.twitter.com/315RkMsY7Z— 岡澤康浩 Yasuhiro Okazawa (@yshrokzw) May 28, 2020 海老田大五朗 (2018)『柔道整復の社会学的記述』勁草書房 柔道整復の社会学的記述作…

Dorinda Outram:博物学者たちのFieldとCabinet

博物学者のfieldとcabinet。:fieldにおける身体を通しての知識の獲得と、自身のコレクションを収めたcabinetでの標本の比較という二つの方法が18世紀にもっていた緊張関係については以下の文献を読めばいいらしい。 Dorinda Outram, “New Spaces in Natural…

Joan-Pau Rubiés:旅すること、あるいは記録することの歴史

travel系だと、バルセロナのUniversitat Pompeu FabraにいるJoan-Pau Rubiésというという歴史家が初期近代における旅行記、エスノグラフィー、科学的観察の歴史の専門家らしい。 かれの"Instruction for Travellers: Teaching the eye to see" History and A…

Justin Stagl, Theory of Travel

知的活動としてのtravelというにわりと重要だと思うし、関心もあるのだが、どこから手をつけたらいいのかよくわからない。授業準備でLorraine Daston編集のHistories of Scientific Observation再読してたら、以下の本が薦められていたので、読んでみるのが…

天野敬太郎:論文検索術の歴史と書誌学

Hiltsの1978年Isis掲載論文"Aliis exterendum"で古典的政治経済学者の著作者の検索にKeitaro Amano, Bibliography of the Classical Economicsが使われているが、この天野敬太郎とその書誌作成についての研究ってあるのだろうか。論文検索技術というのはわり…

Bentham, Statisitc Society

Cullenによると、Jeremy Benthamによる1831年Statistic Societyについての案が以下にあるらしい。(Cullen, Statistical Movement, p. 86, n.60) Bentham papers, CXLIX, ff. 237-53.