没落亭日誌

科学史/メディア論のリサーチ・ダイアリー

Michael George Mulhall: statistical dictionary

世界で最初のstatistical dictionaryであることを主張する者としてMulhall's dictionary of statistics (1884)があるというのを教えてもらった。この辞書が「最初」であるという意味がよくわからなかったのだが、かるくみてみたところ、どうも統計データ検索用の辞書らしい。

これがいかなる意味で最初なのかは「dictionary」の定義による感じだろうか。データをまとめた者としてはMcCullochのA Statistical Account of the British Empire (1837)や、G R PorterのProgress of Nation(1836)がある。McCullochには1841-1842年にまさにdictionaryという語を用いたA dictionary geographical, statistical, and historical of the various countries, places, and principal natural objects in the worldがある。

実際、Mulhall自身も1880年に『The progress of the world』や1881年に『Balance-sheet of the World for Ten Years, 1870-1880』などがあり、これは同系統に思える。

ただ、おそらくStatistical Disctionaryはデータの提示の仕方で革新的で、ABC順で並んでキーワード検索ができるようになっていなかったという違いがあり、これは結構おおきいかもしれない。このシステムは(索引語を太めに印刷する印刷方法も含めて)JSSLのシステムと(その理論化としてのWilliam Guyのノート・テイキングの理論と)似ているので、JSSLのインデックスの導入が統計学的記述の方法を変えたという主張に間接的に使えるかもしれない。

Jubilee volumeを読む限り、MulhallはSSLのメンバーであった模様。そして、JRSS上で、'The Abuse of Statistics'論争(1887-1888)を展開していた模様。

ちょっといまはこれを深掘りしている時間がないのでメモ。