没落亭日誌

科学史/メディア論のリサーチ・ダイアリー

Writing Science (Stanford University Press series)

科学史家のTimothy Leniorと文芸理論家のHans Ulrich Gumbrechtがかつて編集を務めていた、Writing Sciecneシリーズというのがあるらしい。シリーズの巻頭言的なものを読んだ限り、かなり興味関心がかぶっている。書くこと、それを単に文章だけにかぎらず、グラフィックを利用することや信号への変換なども含めた包括的な意味での書くこと、あるいはinscriptionの製造と利用(inscribing書き込み)が科学的活動において占める重要性を強調したものの模様。

www.sup.org

全部で35タイトル出版された模様。全部読むのは無理そうだが、面白そうなものは読んでいきたい。

Models: The Third Dimension of Science (Writing Science)はおもしろそう。 Ursular KleinのExperiments, Models, Paper Tools: Cultures of Organic Chemistry in the Nineteenth Century (Writing Science)は紙を使って何を達成するか(ペーパテクノロジー)系の議論でよく参照されてる気がする。Peter Galisonの The Disunity of Science: Boundaries, Contexts, and Power (Writing Science)も読んでおこうか。 Alex Soojung-Kim Pangの Empire and the Sun: Victorian Solar Eclipse Expeditions (Writing Science)はヴィクトリア朝天文学の話なので読みやすいかもしれない。Bernhard Siegert (translated by Kevin Repp), Relays: Literature as an Epoch of the Postal System (Writing Science)はおもろそうだが、かなり文学よりっぽい。そして、Ethical Know-How: Action, Wisdom, and Cognition (Writing Science)はあらすじ読んだだけだと結構不安になる内容なのだが、大丈夫なのだろうか。

KittlerのGramophone, Film, Typewriter (Writing Science)はこのシリーズで翻訳されたのか。LuhmannのObservations on Modernity (Writing Science)Social Systems (Writing Science)も。

しかし、Stanford University Pressが科学史強い印象はあまりないのだが、文学理論が強いのだろうか。クオリティーがよくわからないので、Isisの書評などをチェックしておいたほうが安全か。全体的にドイツ系メディア論の影響が強いのかもしれない。それが吉と出るか凶と出るか。